9月に突入しました。
毎年この時期になると、
受験生から進路選択についての相談を受ける機会が増えます。
そのような相談をしてくる生徒は、
自分なりに考えたり情報を集めたりした上で、
私に意見を求めてくるケースがほとんどです。
しかし、ごくわずかではありますが、
自分の考えを持たない状態でどうすべきかだけを尋ねてくる生徒もいます。
そうした生徒たちの口から出てくるのは、
「親が言ったから」「学校の先生が言ったから」等の言葉ばかり。
話をするたびに志望校もコロコロと変っていきます。
そのような生徒たちの話を聞いていると、
ある共通の特徴が浮かび上がってきます。
それは、本来は生徒が自分自身で下調べや準備をすべきところを、
すべて保護者の方が先回りしてやってあげてしまっているというものです。
皆さんは「経験泥棒」という言葉をご存知でしょうか?
この言葉は、子供が失敗するのを防ぐために先回りして行動し、
失敗の芽を潰してしまうことを指しています。
親の先回り行動は、子供の無気力・無関心につながります。
私は、進路選択の例は、氷山の一角に過ぎないのではないかと考えています。
人間は経験から学び成長する生き物です。
失敗することも成長するための大切な経験だと言えます。
自分の子供が失敗することは、親としては我慢ならないことでしょう。
だから、失敗しないための指示を出したり、
失敗を未然に防ぐための行動をとったりしがちです。
しかし、これが指示待ちの人間・主体性のない人間を育ててしまう原因となってしまうのです。
子供の自主性に任せるということは、勇気と忍耐が必要なことだと思います。
短期的に見ればなかなか結果が出ないでしょうし、親としては焦ってしまうでしょう。
でも、じっと堪えてただきたいのです。
人の未来は、常に予測できるものではありません。
全く想像もできなかったような出来事に遭遇することもあります。
その都度、臨機応変に対応していかなくてはなりません。
だからこそ、失敗を含め様々な経験をし、
そこから学ぶ能力を身につけることが大切なのです。
進路選択の話からかなり飛躍してしまいましたが、
このことは全てに通ずることだと感じています。
もし思い当たる節のある方がいらっしゃいましたら、
子供のためを思うご自身の行動が子供の貴重な経験を奪うことにつながっていないか、
今一度振り返ってみていただきたいと思います。